大豆のへそまがり栽培法


< その他の栽培法について >

 大豆の高性能緑化強化苗の作り方

  1.はじめに
     大豆は、穀物の中では単位収量が少なく、米・麦などと比較して低収作物である。
     しかし、大豆は植物学的に低収作物なのではなく、栽培学的に低収に甘んじているのである。
     大豆の直播栽培に見られるように、1節の着莢数は1〜2個程度で、効率面から見ると
    この上ない状態である。
    なぜなら、1節の花房には八つの花が咲き、退化しなければ八つの莢がついて当然なのである。
     これは、開花時の大豆が栄養失調になり、多くの花が退化を余儀なくされているのである。

     では、施肥量や追肥で補えばよいという発想になるが、大豆は追肥などをすれば、
    ツル化して逆に収穫が皆無になる恐れがある。従って、栽培法上では大豆の追肥は無効とされ、
    試験データでもそれが示唆されている。

     しかし、この栄養生長に突っ走る性質を阻止する手法が開発された。

     それは大豆の種子根を切断し、挿木をして新たな発根をした苗を植えることにある。

     直播栽培では、種子根の切断は不可能であるから、育苗を行い、育苗期にその処置をする。
     育苗期には断根処置のほかに、発芽中の苗に太陽光に当てることで、休眠している不定根を
    強制的に発芽させ、種子根並みの強力な根を数本確保する。

     また、移植であるから、1本の苗で2本の役目をするように、
    生長点を切断し子葉の付け根にある芽を活性化させ、主管の2本仕立てにする。

     現状、この栽培法による移植は直播き栽培と比較して非効率的だが将来的に機械化がなされれば、
    効率面で大きな改善がさなれ、3倍〜5倍の収量は可能にする大豆の栽培法となり得る。

   <「大豆の高性能緑化強化苗の作り方」の続き>

 大豆の超多収栽培法

  1.はじめに

     この多収栽培技術は、高性能緑化・強化苗が前提の栽培法である。

     慣行の大豆は直播栽培で簡便である。
    しかし、10aの収量が、日本の全国平均では180kg、多収国を自認する米国でも250kgと
    非常に低収である。従って、面積拡大による規模の利益を追求する作物になっている。

     東アジアを原産国とする大豆は、直播に拘る栽培法と、大豆の持っている宿命的ともいえる特性が
    低収作物に甘んじる原因となっている。
     大豆のルーツはツルマメという雑草であったとされており、本来、つる性の植物である。
    従って、必要以上の窒素を与えるとつる化し収量が皆無になる。
    大豆栽培には追肥という言葉は禁句である。

     一方、大豆は畑の肉と言われようにタンパク質の塊である。
    タンパク質は根から吸収した窒素と、葉で光合成したデンプンとの化合物である。
     大豆の多収を望めば、多くの窒素の供給をしなければならない。
    しかし、窒素量を多くすれば栄養生長に傾き、花が退化するため着莢数が激減してしまう。

     このジレンマを解消するのが、この多収栽培技術である。

     まず、苗のときに断根をしてつる性を抑制する。

     断根がつる化を抑制するメカニズムは解明されてはいないが、断根でつる化が起きないことと、
    再現性のあることを発見した。

     これで窒素の多投が可能になった。

     大豆は、開花のときに多くの水と窒素を要求する。
    従来の栽培法だとつる化の防止策がなかったため、窒素の多投や追肥を禁止して低収に甘んじて来た。

     しかし、断根することでつる化することなく大豆が生長し、窒素の多投が可能になると、
    花の着果を促進させる手段になり、大豆の多収栽培が可能となる。


     また、大豆はマメ科植物であるので、根粒菌が寄生し共生関係を築いている。

     大豆の栽培は、根粒菌が寄生するので窒素の供給は根粒菌任せという考えが多い。
     例えば、100の窒素供給能力しかない根粒菌に200の窒素供給を求めても無理である。
     そのことが低収に繋げる原因の一つとも言え、逆説的に、根粒菌に頼らない生育を強いた方が
    多収栽培技術に繋がるとも言える。

     大豆の根粒菌は、本葉5枚までに寄生すると言われており、その間に窒素を与えると、
    根粒菌の着生は弱まり自前で窒素を吸収するようになる。

     この特性を利用し、開花時の窒素の吸収が容易になるようにする。


     また、大豆は根元の土壌の地耐力が低下すると倒伏する。
     この為に数回に及ぶ根元への土寄せを行う。

     この労働を回避する策は、移植時に苗を斜めにして定植する。
    苗は起き上がるためにエチレンを出して、茎を太くし根際に不定根を発根して直立性を確保する。

     エチレン効果の応用である。


     栽植密度は、2本仕立ての苗を植えるのであるから、慣行の直播栽培よりも少なく、
    密度は品種特性と地域特性で決める。

     大豆は典型的な短日性の植物であるから、夏至を中心にプラス・マイナスで決める。

     大豆の中には、地域性の強い品種もあるが、移植月日を調整すると地域性は弱まる。

   <「大豆の超多収栽培法」の続き>

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